従来型のターボエンジンだがターボチャージャーは新設計

ホンダS660に搭載されるエンジンは直列3気筒ターボエンジンのS07A型です。形式自体は先にデビューしたホンダの軽自動車、Nシリーズに搭載されたものと同じで性能や燃費などは申し分ないはずですが、S660に搭載するのにあたり、ターボチャージャーを新設計しています。

排気の力を使って加給する仕組みのターボエンジンは高性能ではあるものの、ターボが効く回転数に達するまでは、NA(自然吸気車)と比較するとどうしてもレスポンスの遅れ、いわゆるターボラグが気になるという方もいらっしゃるでしょう。これを避けるため、S660ではスポーツカーに求められるリニアな走行感を実現できる小径化したインペラ(羽)を採用しました。インペラを小径化することで、低回転から過給が立ち上がる仕組みです。

またターボ本体は三菱重工製ですが、汎用品ではなくホンダが要求する性能のスペックに合わせたものとなっています。肉厚な部分を削った結果、ターボ単体で比較すると12%もの軽量化を実現しているのが特徴です。

初の6速MT採用

(出典:HONDA S660α)
これまでのNシリーズでは用意されなかった6速MTが採用されたのもトピックです。しかもこの6速MT仕様はCVT仕様に比べ許容回転数を7700rpmに引き上げてスポーツドライビングに対応しています。シフトレバーも手首の返しだけでシフトが決まるスポーティなもので操作すること自体が快感です。先代にあたるビートもそうでしたが、スポーツカー好きなら「ホンダはスポーツカーをわかっている!」と、思わず快哉を叫びたくなるはずです。

車体価格は200万円以下(βグレード:1,980,000円)に抑えながらもスポーツ走行にうってつけの絶妙な仕上がりとなっています。
一方、CVT仕様にはパドルシフトを装備、イージードライブとスポーツドライビングの両立を図りました。

さらにCVT仕様にはスポーツスイッチを押すことで走行モードを変更し、マニュアル車と比較してもそん色のないスポーツドライビングに適した回転域を活かして走ることも可能となっています。もちろん、ベースとなったS07A型の性質から、街中を流して走る際には低燃費が期待できることはいうまでもないでしょう。

前後異径タイヤとアジャイルハンドリングシステムの採用

S660のサスペンションは比較的オーゾドックスなものですがアジャイルハンドリングシステム(AHA)という電子制御が取り入れられました。これはコーナリング時に瞬間的にブレーキをかける仕組みで、これにより高度な姿勢制御が可能となりました。

さらにタイヤはNSX同様、ミッドシップの定石とも言える前後異径サイズを採用しました。軽自動車としてはベースグレードのβでも価格は高価なS660ですが、ターボエンジンの仕組み一つとっても専用のチューニングがなされてます。性能と価格のバランスを考えればむしろリーズナブルであるといえるのではないでしょうか。

まとめ

(出典:HONDA S660)
ターボエンジンはパワフルな一方、燃費もレスポンスも悪い、というのはS660を一度でも運転してみれば過去の話であることはすぐに理解できるでしょう。こんな高性能で世界でも稀有な存在のミッドシップ2シーターのオープンカーが、手ごろな価格で購入できるのは奇跡に近いことなのではないでしょうか。