日本がバブル経済に沸いた1990年。

異彩を放つ一台のクルマが日本に現れました。

MR、オールアルミモノコックボディなど、当時としては異例のスタイルで注目を集めたNSX。

なぜNSXは世界のクルマ好きから名車として記憶されるのでしょうか?

歴史に残るスーパースポーツカーNSXとは?

(出典:www.honda.co.jp/50years-history/challenge/1990thensx/index.html)
初代NSXが誕生したのは1990年。

そこから2006年の1月まで3度のマイナーチェンジを繰り返しながら生産が続けられました。

価格は800万〜1300万円台と、他のスポーツカーより群を抜いて高い値段設定も話題となったのです。

※同時期発売のR32 GT-Rは450万~526万円台

最終的に世界で1万8千台以上が世の中に送られました。

新型NSXが登場した今もなお往年のファンを中心に買い手が存在します。

中古車相場では、400万〜2000万円台で、高品質を維持している車両は新車時よりも価格が高いことも珍しくないのです。

2006年の発売終了から間もなく、4年後の2010年にアキュラブランドで、フルモデルチェンジした新型NSXの発売計画が公表されました。

しかしリーマンショックによる経済危機によって開発は頓挫。

またタイの洪水によるホンダ工場の被害、東日本大震災によるSAKURA研究所の被災などにより開発計画は度々凍結を余儀なくされたのです。

ちなみに2010年〜2013年の国内自動車レース、SUPER GTで走行したHSV-010は、開発が頓挫してしまった”旧新型NSX”をベースに製作されたそうです。

そして2016年、満を持して新型NSXがアメリカオハイオの工場で産声を上げたのでした。

価格は2370万円からと、日本ブランドのクルマとしてはLEXUS LFAに次いで高額なクルマとなりました。

LFAは500台限定生産車なのに対し、NSXの日本向け量産車は100台と、希少価値ではNSXが上をいきます。

誕生してから2018年の現在まで約 28年の歴史を刻んでおり、NSXはなお未来へと走り続けます。

初代NSXを詳しく

(出典:www.honda.co.jp/50years-history/challenge/1990thensx/index.html)
初代NSXは
・Ⅰ型 E-NA1型
・Ⅱ型 GH-NA2/GH-NA1型
・Ⅲ型 LA-NA2/LA-NA1型

3つのタイプに大別できます。

Ⅰ型 E-NA1型

ホンダNSXと聞いて、瞬間的に頭にイメージされるのはこのE-NA1型ではないでしょうか。

このクルマには当時のホンダにとって様々な「初めて」が組み込まれる事に。

例えば、今でもホンダはFF車中心のラインナップを展開していますが、NSXはMR。

当時のホンダではスポーツカー開発を基軸にMRの基礎研究を行っていたそうです。

このMRがNSXに用いられたのです。

さらに、F1全盛期のホンダは、そのレーシングスピリットを投入すべく、開発ドライバーに中嶋悟やアイルトンセナなどがテスト走行を担当。

量産車”初”となるオールアルミボディの開発を徹底的に行うべく、高低差300mを越える過酷な”道”で知られるニュルブルクリンクやホッケンハイムリンクなど、国内のみならず世界を舞台に開発は進められていきました。

こうして1990年にE-NA1型NSXが市販されました。

馬力は当時の紳士協定に則り280ps(80型スープラやR32 GT-Rも同じ)。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン。

車重は1350kg(MT)。

なお1992年には、快適装備などを取払い120kg軽量化されたスポーツ仕様のNSXタイプRが3年間国内限定で発売されました。

Ⅱ型 GH-NA2/GH-NA1型

1997年にビッグマイナーチェンジが行われました。

排気ガスの規制適合に加え、MT仕様車のエンジンが、レーシングカーでもベースモデルとなった3.2LのC32B型エンジンに変更されました。

また5速MTが6速MTになるなど、速いクルマとして生まれ変わったのが特徴的なマイナーチェンジです。

そして生産終了したタイプRに相当するタイプS-zeroがラインナップに追加されました。

Ⅲ型 LA-NA2/LA-NA1型

2001年12月のビッグマイナーチェンジは賛否両論ありました。

性能向上を主目的とした外装の改良が行われたため、リトラクタブルヘッドライトが固定ライト化されたのです。

余談ですが、2018年現在でもⅠ型に人気があるのはこのライトにカッコ良さを見出すファンの多さが要因です。

また度重なる排ガス規制によりGT-Rやスープラなどは生産中止に追い込まれましたが、NSXは法規適合を続けたため、バブル出身のレーシングカーとしては生産時期が最も長いクルマとなりました。

2002年にはタイプRも発売。

操縦安定性向上のためにフロントアンダーカバーやリアディフューザーなど空力面デバイスの改良が施され、軽量化のためボンネットやリアスポイラーをCFRP化されました。

ユーザーボイス

・気軽に乗れる存在でないのが玉に瑕

・希少価値が高いので中古で買っても安くなる見込みが無いのでお得感がある

・強めにブレーキしても気持ちよく止まる。前につんのめらない

・直線加速を80スープラと比較すると物足りないが、高速走行時の安定感はケタ違いにイイ

・C32Bに換装されてからエンジンのレスポンスの良さが際立つ
(引用:価格.com)

新型NSXは憧れから遠い存在に?

NSXの冠を持っていますが、先代のクルマとは別物と思ってよいでしょう。

それほどNSXは変わりました。

先代型NSXが環境規制に追従したように、新型NSXも時代の潮流に沿って開発がされました。

走行性能開発は佐藤琢磨らが努め、先代同様、時代のトップレーサーによって行われたのです。

その結果アウディR8にも引けを取らないクルマに仕上がりました。

2370万円という価格は先代と3倍近い差があり、ちと高すぎる印象。

“憧れのクルマ”という印象のあった先代に比べ、やや遠いクルマになってしまった感は否めません。

581psにも達するパワーユニットシステム

ハイブリッド搭載とは言え、その使用目的は走りの快適性を追求するための、言わばF1のようなレーシングハイブリッドのようなニュアンス。

前輪左右に独立のモーター(48ps)をそれぞれ設け、メインエンジンをアシストするモーター(37ps)、計3つのモーターが搭載されました。

縦置きされたメインエンジンは3.5L V6 ツインターボで500馬力以上を発生。

最高出力は581ps(トルク65.9kgf・m)と、先代よりも300psもアップしたモンスターマシンに。

ナビ連動性のスピードリミッターを解除すれば300km/h以上での走行が可能となります。

レーシングカーを彷彿とさせるボデー&シャシー構造

ボディワークはオールアルミから、マルチマテリアルに。操縦安定性を高めるべくカーボンやチタンなど異種材料を適材適所に配置し、スポーツ走行を存分に楽しめるようになりました。

天井はもちろんカーボンルーフ。

このような取り組みが、前後重量バランス42:58という理想的な配置を実現しました。

FRサスペンションは、オールアルミニウムのダブルウィッシュボーン。

RRサスペンションは、オールアルミニウムのマルチリンク式。

ダンパーはアクティブシステムを搭載。

スポーツ走行に欠かせない”バネ下”の剛性強化と軽量化、それを高い次元で完遂させるアクティブサスペンションシステムが投入されているのです。

このジオメトリはレーシングカーから移植したと言っても誰にも否定されない、そんな印象を直感的に受けます。

4つの走行モード

佐藤琢磨氏もこだわって開発に専念した4つの走行モード。

これこそ技術進歩によって叶えられた、NSXを多重人格化させるシステムです。

・SPORT
あらゆる走行シーンで軽快なドライビングを可能にします。
公道走行に適しており、サスペンションの味付けも乗り心地重視のセッティングです。
EV走行も可能で、VSA(横滑り制御)も介入します。

・SPORT +
ステアリング、アクセルなど人間の入力にいち早く応答するような制御になります。
攻めた走りを楽しみたい方に推奨されます。

・TRACK
サーキット走行特化型のモードで、足回り、ブレーキ、ギアの変速スピードなどが、限界性能を限りなく発揮させるセッティングとなります。
また0km/hからの加速をアシストするローンチコントロールシステムも唯一起動します。

・QUIET
街乗り走行に特化したモードで、静粛性と乗り心地重視のセッティングとなります。

ユーザーボイス

・ドリクホルダーが残念
(引用:Response)

・手の届かない値段になってしまったのと、ドアノブの細さが心細い

・加速がとにかく速い。いろんなシチュエーションで走りを楽しめる

(引用:価格.com)

・4つの走行モードのおかげで、先代のようなタイプ別のキャラクターが1台に集約された感じで運転するのが楽しい
(引用:ベストカー)

まとめ

新旧NSXについてご紹介致しました。

出来上がったモノに差異はあれど、時代の先端技術を投入する試みが一貫している様子が分かります。

ゆえに旧型と新型で似た仕様の部位というのはFRサスペンション程度で、後は別物といったところ。

ところで、人間が感動する瞬間とは、期待を越える何かを提供されたときです。

NSXは、人間の”感動”を具現化した存在かもしれません。

この魅力は新旧変わらない気がします。

以下、新旧NSXのスペック概要です。

旧型(NA-1)

エンジン 3.0L V6
駆動方式 4AT/5MT 4WD
最高出力280ps(トルク30.0kgf・m)
JC08燃費 AT7.1km/L MT8.3km/L
ボデー オールアルミニウム
サスペンション(オールアルミ) FR/RR ダブルフィッシュボーン
車重 AT1390kg/MT1350kg
価格 AT860万円/MT800万円

新型(NC1)

エンジン 3.5L V6 ツインターボ ハイブリッド
駆動方式 9AT パドルシフト 4WD
最高出力(エンジン+モーター) 581ps(トルク65.9kgf・m)
JC08燃費 12.4km/L
ボデー マルチマテリアル
サスペンション(オールアルミ) FR ダブルフィッシュボーン/RR マルチリンク
車重 1800kg
価格 2370万円