VTECエンジンは、ホンダが開発した独自のエンジンです。

VTECエンジン搭載により、他社の自動車に勝るとも劣らない走行性能を発揮することから、人気を得たホンダの乗用車も存在します。

本記事では、VTECエンジンとは果たしてどのようなエンジンなのかについて解説し、メリットや開発、使用の歴史など、知識を深めて頂くための複数のポイントを紹介します。

VTECとは何か?

まずは、VTECの意味について紹介します。

VTECは、ホンダが独自に開発した、抜群の走行性能を発揮する革新的なエンジンであり、名前は正式名称を略称したものです。

低回転と高回転両方でパワーが出せる

一般的にエンジンは、走行中高速で回っており、1分間の回転数が多いほど、高い馬力を発揮します。

VTECエンジンの場合、低回転時にも高回転時にも、同じように高い馬力が出るように作られています。

VTECの正式名称は?

VTECの正式名称は「Variable valve Timing and lift Electronic Control system」です。

日本語訳で「可変式バルブタイミングリフト電子制御機構」と言われます。

エンジンの中ではカムシャフトという部品により、バルブの開閉動作を受けて吸気および排気が行われます。

つまり、エンジンに呼吸させることで、空気や燃料を取り入れ、排気ガスを外に出しています。

VTECの場合は、本来低速用と高速用に分けられるカムシャフトが1本にまとめられているという、特殊なカムプロフィール(カムシャフトの特性)を持っています。

そのため、呼吸の量やタイミングを2~3段階に分けられ、普段使いの性能とスポーツ性能を両立させているのです。

VTECエンジンのメリットとは?

それでは、VTECエンジンを搭載した自動車にはどんなメリットがあるのかについて紹介します。

VTECエンジンにより多くのユーザーの関心を集め、人気を博した乗用車も存在しており、その理由を以下で知ることができます。

VTEC開発前のエンジンの欠点

80年代当時、町乗りなどの普段使いでは低回転で走ることが多かったのですが、その時の自動車が馬力の高さを重点して開発されたものであると、ワインディングと言われる緩いカーブが連続する道では、高回転時のパワーが不足し、スムーズに走れないという難点がありました。

つまり、80年代では一般的なエンジンの場合、低回転では強力なトルクにより安定した加速性能を見せますが、高回転ではスピードが出にくくなるのです。

レースなどのスポーツ性能の場合は、高回転でパワーを発揮しながら、低回転ではアイドリングもできないほど思い通りに動かないものが多かったようです。

従来のエンジンでは、高速用と低速用の2本のカムシャフトによるカムプロフィールにより、エンジンにとって最も馬力を発揮しやすい回転数が定められてしまうために、このような現象が起きていたようです。

VTECなら街乗りでもスムーズな乗り心地

VTECは前述の通り、低回転でも高回転でも安定してパワーを出せる性能であるため、町乗りなどの普段使いとしてもワインディングを伴うサーキット走行などのスポーツ性能としても良好な走り心地が可能になります。

つまり、80年代以前のエンジンにはなかった絶妙なバランスを伴う革新的なエンジンが完成したのです。

VTECエンジンはいつから存在するか?

それでは、実際にVTECエンジンはいつから世に出て、どのような変遷をたどることになったのでしょう?

元祖は1989年式インテグラ

初めてVTECエンジンが採用されたのは、1989年、ホンダ・インテグラに対してです。開発自体は1984年、ホンダによる「New Concept Engine計画」として始められ、NA(自然吸気エンジン)で100馬力を出せることを目指していたようです。
(出典:HONDA 燃費とパワーを両立する可変バルブ)

その後、VTECエンジンはどのように活躍したか?

1990年9月に登場したNSXのVTECエンジンは、NAエンジンにして当時の自主規制上限である280馬力を叩き出しています。

その後、1995年9月の6代目シビック以降、多くの車種にVTECエンジンが採用され、2000年からは排ガスと燃費向上に対応したi-VTECエンジン(高知能可変バルブタイミングリフト電子制御機構エンジン)も発表されています。

さらにVTECは、ターボやハイブリッドと組み合わせられるようにもなりました。

VTECターボの代表例は2015年式ステップワゴンで、ターボのサポートを得て自然吸気の上位エンジン並のトルクを発揮するようになりました。

VTECハイブリッドの代表例は2005年7月のシビックであり、強力なトルクと抜群の燃費性能の両立に成功しています。

このように、VTECエンジンはホンダの代名詞となったのです。

VTECエンジンの現在は?

現在、VTECエンジンは、軽自動車も含めて、ホンダの全ての車種に搭載されています。

最近新車市場に復活したシビックなどの伝統的な車から、ホンダと軽自動車の新しい歴史を作ると言われているNシリーズまで、あらゆる車種がVTECエンジンを搭載しています。

さらに、i-VTECと呼ばれる次世代の版も精力的に開発されており、日本、北米、欧州などの市場を問わず、軽自動車を除いた多くの車種に採用されています。

まとめ

バルブタイミングリフト電子制御機構とも呼ばれるVTECエンジンは、ホンダが独自に開発した、一般道からサーキットまで、あらゆるシチュエーションでスムーズな走行性能を発揮する画期的なエンジンです。

特殊なカムプロフィールにより、最高出力を発揮できるエンジン回転数の範囲が広くなっています。

現在では、ホンダから発売されるほとんどの車種が、VTECまたは次世代のi-VTECを搭載しています。
(出典:HONDA i-VTEC)